【合格体験記】電験3種

 こんにちは。Office Y.E.T.です。
 
 今回は電験3種の合格体験記を書きたいと思います。受験年度はこちらを参照ください。

 それでは、長いですが最後までお付き合いください。

電験3種を目指すきっかけ

 私は、中学校卒業後の15歳から海上自衛隊に入隊し、技術者になるための教育を4年間受けました。4年目で専門職種に進むのですが、私は「電機」という職種になりました。そして、無事に4年間の教育を終え横須賀の護衛艦に配属されることになりました。
 
 電機という職種は、主に艦艇の発電機から照明・コンセントに至るまで電気がしっかりと送り届けられるよう日々管理します。また、船の運用に欠かすことができないエンジンや各種補機(冷凍機、ボイラーなど)の電装品などの管理も行なっていました。

 洋上で何らかの不具合が発生した場合は、乗員で何とかしなければならないので、勉強の毎日でした。そして仕事にも慣れてきた頃、ふと思いました。

 艦艇は電気事業法の対象外なので特に資格は必要ないけれど、いつか定年などで退職することになった時に、電気関係の資格を一つも持たないのに、電気に関する知識・技量があると言って誰が信じて雇用してくれるのだろうか…?

 この時、何か自身の能力を証明するような資格を取らなければと思い、業務内容が最も近かった電験3種の取得を目指すことにしました。

勉強方法

 そんなこんなで、2014年(平成26年)の1月に勉強を開始しました。(ただ始めた時期があまりよくなく、第一子が生まれようとしているときでしたのでめちゃくちゃ迷惑をかけたと思います・・・)

 まず初めに参考書を購入しました。

 購入した書籍は、4科目とも(理論・電力・機械・法規)電気書院のこれだけシリーズにしました。特に下調べもせずに購入しましたが、その時書店に同じシリーズで唯一揃っていたことが購入の決め手でした。

 参考書も揃い、勉強開始!となるはずが、勉強のやり方がわからない・・・いきなり壁にぶつかりました。

 というのも、勉強を始める前に電気技術者試験センターのHPに記載されている過去問題をひと通り見たところ、過去問題をひたすら解いて暗記を頑張れば良いというレベルではなく、本質を理解をしていなければ解けない問題があると感じていたからです。

 私は、誰かに教えてもらったことを覚えて使う(=暗記)ばかりで、自分で考え理解するという勉強をしてこなかったので、参考書を使ってどのように勉強すれば良いのかわかりませんでした・・・とはいえ、勉強のやり方から勉強していてはいくら時間があっても足りないと思い、理論科目の参考書から順に、次のサイクルで読み進めることにしました。このとき並行して複数の科目を勉強することはせず、参考書を1周するまでずっと同じ科目に向き合いました。

①解説読む
②例題解く
③次の単元に進む
④2日後くらいに②の例題を解く
⑤例題が全く分からなかったらその単元の解説を読む

 あまり厳密ではありませんでしたが、エビングハウスの忘却曲線を若干意識して勉強していました。勉強時間は通勤時間や昼休み、仕事から帰宅して寝るまでの時間を有効活用しました。仕事中も常に勉強したことが実務に結びつくことは無いか意識しました。

 そして、とにかく全て理解するという気持ちで取り組んでいたので、一度読んで意味が分からなかったものについて、分かるようになるまで、その単元にとどまり何度も読み返し理解しようとしていました。ですがこれはあまりお勧めできるやり方ではありません。分からないところは、とりあえず分からないまま進めるといいと思います。勉強を長く続けるうち、そのように考え実践するようになりました。

 分からないところを分からないままにするというのは、気持ちのいいものではありませんが、その理論が他の事柄で応用されているときがあります。応用されている単元にたどり着いたときに「あの時のあれってもしかして・・・」という感覚とともに、理解できる瞬間が実体験として度々あったので、分からないところは分からないまま進めていくことをお勧めします。

 また、公式や理論理屈の丸暗記はとても苦手でしたので、実際に機器を見たり、自分なりのイメージと重ね合わせたりと、全てを完璧に覚えるのではなく、思い出すきっかけを作りました。こうすることによって、知識の関連付けができるようになり、応用力が向上したように思います。

 3ヵ月ほどで各科目参考書を1周して、2周目に突入しました。2周目からは日替わりで理論・機械や電力・法規といった組み合わせで日々勉強しました。さらに3ヵ月経過し参考書は3周しました。試験まで残り2ヵ月ほどでしたので、過去問題集を購入し過去問演習に取り組むことにしました。このとき参考書は辞書のように使用していました。

 過去問題集の名前は忘れてしまいましたが、オーム社の5年分の解説がされている、昔の電話帳のようなサイズの過去問題集を使用しました。過去問題を解き始めて早々に心が折れそうになりました。これまで参考書を読んで自分の中で理解することが中心だったので、自分の知識をうまく回答に使うことができず、最初は解説をマネする形で回答をしていました。

 計算問題は、様々な答えの導き方があると思いますが、出版社によって解説中の計算方法が違っていました。約半年間使用した参考書と違う解説がなされているので、それを理解するためにとても時間を費やしてしまいましたが、計算力の向上につながったことは間違いありません。試験本番では1問にたくさんの時間をかけられないので、とにかく数をこなしました。間違ったところはチェックしておき数日後に再び解いて、理解を深めていきました。正解していたところは、理解できていると考え次の周回まで再び解くことはしませんでした。

 論説問題は、手を動かすことなく頭の中で過去問題を回答できたので、鉛筆を握れない状況でもたくさんの問題に触れることができ、過去問題をほぼ覚えていました。また、イメージと重ね合わせることで記憶が強固なものとなっていたので、論説問題が大半を占める電力科目については、かなり得意であると感じていました。

いざ初受験!

 勉強を開始してから8ヶ月が経過し、初受験の日が訪れました。緊張はしていましたが、よく眠れたので体調は万全でした。

 試験会場に着くと、ほとんどの人が参考書を開き勉強をしていました。参考書にたくさんの付箋がついていたり独自のノートにまとめている方をみて、みんなすごくできそうだな・・・と不安になりました。

 私は学生の頃から、試験前に教科書を読み返したりはしないタイプでしたので、頭の体操のため指を回したりお手洗いを済ませたり、電卓の調子を確かめたり、シャーペン芯の補充をしたりしていました。

 試験開始から終了までは、緊張していたのもあってほとんど何も覚えていませんが、4科目目の法規で集中力が低下してしまい、見直しをおろそかにしてしまったことだけは覚えています。

 しかし、全科目手応えはあったので合格しているかも?という期待が芽生えていました。

解答速報を見て・・・

 公式の回答は確か翌日でしたが、解答速報が出版社より実施されていましたので、帰宅してすぐに自己採点しました。

 自己採点の結果、法規が6割以上なく4割程度でした。そのほかは、理論が7割、電力は9割、機械は8割の点数が獲得できていたと記憶しています。

 法規は得点調整など望める点数でもなく、法規のみ不合格という結果になりました。1年での全科目合格は達成できませんでした。法規科目の得点が取れなかった要因は、集中力が低下し見直しをしていなかったためと思います。B問題のほとんどを間違っていました。

 B問題は計算がメインでしたが、誤った解き方をしていた場合の答えも解答群に用意されており、集中力の低下もあったので、自分の答えと一致するものがあることに安心してしまい問題を見直すことをやめていました。

 問題を見直して、解き直していたら合格していたかもしれなかったと思うと悔しくてたまりませんでしたが、いくら悔しがっても不合格は覆らないので、これが今の自分の実力と認め、また受験することにしました。

再受験までの道のり

 法規科目だけ不合格でしたが、不合格とわかったその日から法規の勉強を再開しました。

 まずは、参考書を新しく購入しました。1科目だけなので、できるだけ内容の濃いものがいいと思い、厚めの参考書を選びました。選んだ参考書は、オーム社の完全マスターシリーズでした。

 2年後の試験を照準(1年後の試験の時には仕事で受験できないことが既に判明していました。)にしていましたので、勉強する時間はたくさんありました。なので、とにかく参考書を読み込み、頭の中に参考書を焼き付けるつもりで日々空き時間に読み続けました。覚えるというよりも、日常に組み込んで体の中に染みこませるイメージで取り組みました。計算問題ではペンを走らせましたが、法令条文の写経などはしませんでした。この時は電気事業法適用外の艦船にて勤務していたため、イメージが全くできないこともあり大変でした。

 1科目のために、2年間も勉強を続けることはとても大変です。とにかくモチベーションの維持が難しいですし、他の科目の勉強したことも忘れていくような気がして、不安な気持ちになることが時々ありました。 
 
 そこで、科目合格した理論・電力・機械については電験2種の1次試験の過去問題を解くことで、知識の維持向上を図ろうと考えました。2種の1次試験は各種公式の導出過程や各種機器の動作原理などが穴埋め形式で出題されており、3種で学んだことをより深く理解することができ、絶好の教材となりました。また、法規についても2種の1次試験過去問題を解き知識の蓄積を行い、モチベーションを維持しました。

そして再受験!

 2年の時を経て、再受験の日が来ました。当日の体調は万全でした。法規だけだったのでお昼過ぎに会場に到着しました。そして試験が始まりました。

 もうやるべきことはやってきたという気持ちだったので、自信はありました。2年前の嫌な記憶と共に同じ過ちを繰り返さないよう慎重に見直しを行い、計算問題は3回ほど問題を読み直して解くということを実行しました。 

 A問題で1問だけ自信のない問題がありましたが、そのほかは完璧の手ごたえでした。実際手ごたえどおり公式の模範解答で自己採点の結果、9割は得点できていました。

 合格発表当日、無事に合格の確認し一安心しました。後日A4サイズの封筒で合格通知が届き、急いで免状を申請しました。

 晴れて第3種電気主任技術者試験に合格しましたが、これで終わりではありませんでした。その日からまた机に向かい第2種電気主任技術者免状取得に向けた勉強が始まりました。

さいごに

 ここまでお読みいただきありがとうございました。少しでも皆様の勉強の参考になりますと幸いです。

 これから電験3種を受験しようと考えている方も、すでに挑戦中でお悩みの方も私に聞きたいことがありましたら、お気軽にお問い合わせフォームからご連絡ください。(初回の相談は無料です。)