【合格体験記】電験2種

 こんにちは。Office Y.E.T.です。
 
 今回は電験2種の合格体験記を書きたいと思います。受験年度はこちらを参照ください。

 それでは、長いですが最後までお付き合いください。

電験2種を目指すきっかけ

 電験3種の受験勉強をしている頃は、電験2種の2次試験問題を見て「こんなの解けるわけがない、自分には無理だ・・・」なんて思っていましたが、電験3種の法規のために受験した電験2種の1次試験を受験してから考えが変わりました。

 電験3種は法規以外科目合格をしており、法規のみの勉強だとモチベーションの低下がみられたので、知識の維持向上もかねて電験2種の1次試験問題を解いていました。その影響もあり、法規の力試しのため電験3種の前日に行われる電験2種の1次試験を全科目受験しました。

  受験の結果、1次試験は理論科目以外合格していました。点数も理論以外の科目は8割以上とれており悪くありませんでした。この結果が「できるかもしれない!」と勘違いさせ、電験2種の取得を目指すきっかけとなりました。

1次試験の勉強方法(1回目)など

 電験2種の1次試験は次のような方法で勉強をしました。なお、2次試験に不合格し1度リセットされたので1次試験は理論が3回そのほかは2回受験しています。勉強時間の確保は朝早起きしてみたり、昼休みや夕食後の時間をうまく活用していました。あとはすべてに共通することとして、勉強で得た知識を少しでも現場での仕事に活用する、融合させるということを常に意識していました。よく電験などの資格試験の勉強は現場では役に立たないと言われますが、私はそうは思いません。知識があることで物事を根拠に基づき論理だてて考えることができるようになると思っているからです。知識が無くても、何かの不具合があったときに経験からくる勘で解決できる能力はとても魅力的です。ですが、なぜ・どうしてを理論的に説明する能力がプラスされると技術者として一段上のステージに上がれるのではないかと思います。

【理論】
 唯一、初回受験で不合格の科目でした。幸か不幸か3年先まで2次試験が仕事で受験できない状況とわかっていたので、科目合格が失効する2年後の試験での合格を目指して勉強に取り組むことにしました。
 理論科目でやるべきことは決まっており、数学でした。微分・積分の知識が必要になるので、まず高校数学の教科書で勉強しました。知り合いに数学Ⅲの教科書を譲ってもらい、自分自身で考えながら学んでいきました。ある程度理解できたところで、電気書院の電験2種数学入門帖を購入し、電験に特化した数学の勉強をしました。高校の範囲の数学はまともに勉強していなかったのでとても苦労しました。また、数学がなんとなく理解できても電気の計算に応用するとなると全くダメで、この部分だけで相当な時間を使ったと思います。微分・積分は2次試験でも必要となりますので避けては通れませんでした。そのため自分のものになるまで何度も基礎を徹底的に勉強しました。
 そのほか特に参考書等は新たに購入せず、1次試験の過去問題を使用して理論に関する理解を深めていきました。1次試験の問題は計算問題や、原理等の導出過程などが問題となっており、穴埋めをしてしまえば問題自体がいい教材でしたのでそれを活用して理解を深めていきました。

 ちなみに、電験2種数学入門帖はいろいろな方の合格体験記に登場していたため購入しました。電気数学に自身のない方へおすすめの1冊です

【電力・機械】
 電力と機械は、1次試験の過去問題と電験3種の勉強で使用した電気書院のこれだけシリーズを使用しました。何度も言いますが、電験2種の1次試験は、問題自体がいい教材でしたので、解きながら理解を深めつつ、分からないところは参考書を見て復習する。というようなことをしていました。問題の回答を埋めるだけでなく問題をしっかりと読むことで、理解が深まったと思います。また、問題の内容を深堀りして調べることにより知識の幅が広くなりました。この時2次試験の問題は一切見ませんでした。(難しすぎて心が折れそうになったためです。)

【法規】
 法規は電験3種の勉強で使用していた、オーム社の完全マスターシリーズと1次試験の過去問題のみです。メインは3種の勉強でしたのでそちらを完璧に近づけたら、2種でも通用したという感じでした。

 理論以外は1度目受験で合格しました。理論は科目合格が失効する2年後に8割得点し合格できました。1次試験はあくまで通過点という考えだったので受験当日の記憶はほとんどありません・・・電卓をほとんど使わなかったことは覚えています。また電験3種同様、見直しはマークミスはもちろんですが、問題の内容を再度読み返し勘違いをしていないかなども確認しました。

2次試験の勉強

 ここまでの話の流れから、1度リセット(1次試験からやり直し)を経験していることはお気づきかと思いますが、1度目の2次試験について書いていきたいと思います。

 電験2種の初受験から4年目で2次試験を初めて受験しました。仕事の都合で科目合格制度を活用し、権利が失効する最後の年で2次試験を受験できるよう調整しました。最初で最後の2次試験への挑戦と思うと、とても緊張していたことを覚えています。

 まずは勉強方法について書きます。

 使用した参考書は、計算問題対策として、
電験二種二次試験の完全研究(オーム社)

 論説問題対策として、
発変電工学(電気学会)
送配電工学(電気学会)

 を購入しました。発変電工学と送配電工学の本は中古でかなり安くなっていたものを購入しました。これらを読み進めていき勉強しました。こうしてみると機械・制御に対応できそうな参考書は購入していませんが、そもそも2次試験の参考書自体が少なく論説問題もほとんどないだろうと想定して、過去問題と電験3種の参考書で対応しました。

 論説問題の勉強は、隙間時間に購入した本を読むことをメインにしましたが、記憶に定着しているか不安になり、暗記カードを使って「~の発生するメカニズムを説明せよ。」というような1問1答の問題集を独自に作成し、通勤中などにも頭の中でアウトプットができる環境を作りました。手を動かせる時間はできるだけ計算問題の練習に使いたかったので、問題の作成段階こそ時間はかかりましたが、とても効率的に勉強ができたと考えています。また毎日数問は過去問題を解いていました。

 計算問題の勉強は、分からない問題はしっかりと考え、解ける問題は計算の速さ、確実性を上げるということを意識しました。特に機械・制御では計算問題が出題された場合、回答速度と確実性が重要となるので相当な回数の計算をこなしました。

 また、参考書の解説とは別の方法で回答を導き出してみたりして、いろいろなパターンでの計算にも挑戦しました。問題を解いていて気づいたことなどは参考書にそのまま書き込み、情報を参考書に集約するようにしました。
 難解な計算問題も初めは解けませんでしたが、解説を読み見様見真似で挑戦するうちに、意味が分かり自然と解けるようになっていきました。

 試験前は、過去問題を使用し時間を計測して本番と同じ時間でどれだけできるかを確認しました。もちろん本番では見たこともない問題が出てくるので状況は違いますが、時間に追われる感覚に慣れておかないと、本番で実力を出し切ることはできないと考えていたためです。

はじめての2次試験

 2019年(令和元年)11月、二次試験の日が訪れました。

 数年計画で2次試験にたどり着き、最初で最後の挑戦ということで、緊張のためかあまり眠れませんでした。行きのコンビニでチョコレートとカフェイン強めの炭酸飲料を購入しました。お昼は眠くなるといけないのでプロテインバーのようなものにしたと思います。

 電力・管理の試験が開始されました。試験開始後一通り問題を見て直感で解けそうな問題4問に印をつけました。印をつけた中から論説問題を先に解答していき、計算問題にたくさんの時間を使えるようにしました。論説問題も計算問題でも、解答する際は解きながら頭の中で整理して直接解答用紙に記入していきました。自分の答案をいったん問題用紙に書き出して、きれいにまとめながら・・・なんてことをしていては時間がいくらあっても足りないと思い、勉強期間中からきれいな解答を作ることを意識していました。

 電力・管理の手ごたえは6~7割程度かなぁ~といったところで、まずまずの感じ。全くできていないわけではなかったので、午後の機械・制御へ向けてモチベーションを保つことができました。

 そして、午後の機械・制御が始まりました。問題を見た瞬間、これはいけるかもしれないと思いました。この思いがまたもや電験3種で失敗したときと同じ過ちを犯すことになるとは・・・
 機械・制御のパワエレは勉強中から選ばないことに決めていたので、誘導機・直流機・同期機・変圧器・古典・現代制御での勝負でした。試験問題は誘導機・変圧器・古典制御が出題されており、どれも解けそうでした。その中でも問題文だけで計算のイメージが瞬時にできた、変圧器と古典制御を選ぶことにしました。それはそれはすらすらと解答が書けました。時間も20分程度あまり問題を見直す余裕は十分にありました。ですが、計算を再度行うのみで、式が正しいものなのかなどを見直さない適当な見直しをしていました。

 無事に試験が終わりました。合格したかもしれないという手ごたえで、内心ニヤニヤが止まりませんでした。計算問題だけは、後日自己採点できると考え、式と答えを問題用紙に書き留めていたので、帰りの電車で見ていました。すると・・・大きなミスを発見しました。天国から地獄へと一気にたたき落とされました。式の見直しをしっかりしていれば・・・と思いましたが、それも含めて自分の実力です。間違っていたことよりも、電験3種不合格となった時と、同じような過ちを犯している自分の学習能力の無さに悔しさがこみ上げてきました。

合格発表の結果

 電験2種の2次試験は各科目の6割以上得点できていれば確実に合格ですが、そうでない場合は科目ごとの得点数と合計得点数が合否を左右するので、合計得点では合格だけど、片方の科目が合格基準に達していないため不合格なんてことがあります。機械・制御の問題は比較的簡単で平均点が高いことが予想できたので、5割以下の得点が確実であった私は、不合格であるに違いないと思っていました。ですがここまで4年かけて積み上げてきたものをあきらめることができず、試験翌日から翌年の1次試験に向けて勉強を開始していました。

 合格発表当日、受験番号を検索すると「合格者一覧にありません。」

 やっぱりね。という感想とともに、来年こそは!と悔しさをバネに強い思いがみなぎりました。

また一からの挑戦

 2次試験の受験資格が失効し、1次試験から受験することになりました。2次試験までストレート合格を目指すことにしましたが、1次試験の勉強をしながら、2次試験の勉強をすると途轍もない勉強量となりました。
 

【1次試験の勉強】
 1次試験の電力と機械は、2次試験の勉強で代替することにして、理論と法規は過去問題を中心に勉強をしました。
 具体的には、電力と機械は1次試験過去問題の穴埋めを独自に範囲を広げ、語群を消すことにより1次試験過去問演習と2次試験の論説対策を同時に行いました。
 理論は数学の再確認と、過去問題を解いて苦手な部分を徹底的に勉強しました。(なぜそうなるのか、という疑問を腹落ちするまでしつこく解きました。)また、たくさんの問題に触れるために、2種でも出題されそうな1種の過去問題にも手を付けました。
 法規は、最新の内容を勉強したいと思い、電気書院の電気事業法と電技等がひとまとめになった本を購入しました。このころ法令適用外の艦船から特別高圧受電所での勤務となっていたので、この本は仕事にも使えました。内容はe-Govでも確認できますが、コンパクトでどんな場所でも読めるので、常に持ち歩き暇さえあれば読んでいました。

【2次試験の勉強】
 2次試験の勉強は1次試験の勉強と並行で行いましたが、前回の試験勉強で購入した電験二種二次試験の完全研究(オーム社)はやりこみすぎて飽きてしまっていたので、新しく「戦術で覚える電験2種(電気書院)」を購入しひたすら解き続けました。解いた問題について、正解か不正解を○×で書き込み、次回同じ問題を解いたときの結果を見て、〇が×になったり、×がそのほか追加購入の参考書等はなく、暗記カードを活用した論説対策と、発変電工学と送配電工学を読み込むことに専念しました。
 参考書の問題をただ解くだけでは力にならないと思い、類似問題でも解答の導出問題が違うものなどを比較して、どこがどう違うのかを自身で検証し、計算の引き出しを増やしました。論説問題については、暗記ではなく理解しておくことで、連想ゲームのように知識を出力できるよう日々知識の吸収と出力を頭の中でぐるぐるさせていました。(書く作業は計算で手一杯だったので、論説は基本的に頭の中で完結させていました。)

再挑戦!

 日々の仕事、家庭(こちらは任せっきりでしたので、怪しいですが)の事をこなしながら勉強をしていると、1日があっという間に過ぎ去っていき、1次試験の日もあっという間に訪れました。
 試験当日は、ストレートで合格するぞ!という気持ちが強すぎてかなり緊張していましたが、まだ通過点ということを自分に言い聞かせ、気持ちをおちつかせました。試験前はいつものルーティンで特に最後のチェックなどはせず、文房具の準備や電卓の動作確認などをして過ごしました。

 そして、1次試験が開始しました。全科目とも不安になるような問題はなく、すらすら解けていたと思います。初めて受験したときは試験終了後にかなり疲れてぐったりしていましたが、普段こなしている勉強量より少なかったからか、特に疲れることもなく、すがすがしい気分で試験時間が終了しました。自己採点をする前から1次試験は合格したと確信できるほどの手ごたえでした。後日発表の模範解答で自己採点したところ合格していました。知人に連絡をした記録が残っていたので、その時の点数を書いておきます。

理論:72/90
電力:80/90
機械:90/90
法規:78/90

 マークミスを大量にしていない限り合格しているだろうと思ったので、2次試験の勉強に集中することができました。この結果が6割ギリギリだったら不安で勉強に集中できていなかったかもしれません。

 合格発表の日、無事に合格を確認し2次試験に向けてモチベーションは最高潮に達していました。

2次試験再び

 2回目の2次試験はあっという間に訪れました。1次試験合格後も勉強スタイルは変えずに、ひたすら解いて解いて読んで読んでと、暇さえあれば勉強していました。購入した試験前日は、分からない部分があると不安になるかもと思い、あえて勉強せず早めに寝ました。

 試験当日、体調は万全でした。行きの電車内で暗記カードをパラパラめくりながら軽く復習をして、会場に到着しました。会場では参考書類を一切開かず、試験前の準備を整えました。試験会場では、周りの人がみんな出来そうな雰囲気なのでいつもより緊張していました。

 電力・管理が始まりました。問題をさっと見て、瞬時に解答案が浮かんだ問題4問にチェックをつけ、論説問題から解き始めました。(令和2年:問1、4、5、6選択)
 論説問題から解く理由としては、自分の知識で全てが決まるため、計算問題のように計算ミスで得点を落とすというよりも、知っているか知らないかが焦点となり、書くことを書いたら終わりなので、あっという間に解答が作成でき、論説でも高得点を狙え合格への安定度が向上すると考えたためです。計算問題を先に解いてしまうと、どうしても計算を確実に解きたいけど、残る論説問題も気になります。論説を先に解いておくと、残る時間は全て計算に使うことができるので、深い集中で問題を解くことができました。

 電力・管理終了時点で8~9割程度の手ごたえがあったので、いい気分で午後の機械・制御の試験を迎えることができました。

 機械・制御の試験が始まりました。こちらは時間的に本当に余裕がないので、迅速・丁寧・確実に問題を解いていく必要があります。さっと見てすぐに解けると思った2問を選択しました。(令和2年:問2、4選択)
 得意な問題であったので、すらすらと解けました。30分程度で全て解答できたので、昨年不合格となってしまった時の教訓を生かして、問題文を再度読み解答内容が間違っていないか検証しました。もう一度解く感覚で見直しが終わったところで、試験が終了しました。

 試験が終了した段階で合格を確信できるほどの手ごたえがありました。2次試験は結果発表まで時間があるので、結果発表が待ち遠しかったことを覚えています。

 模範解答が公開され、電力・管理の論説の採点はどのような感じか分かりませんでしたが、一部を除いてほぼ模範解答と等しい回答でした。その他計算問題については、ほぼ模範解答通りでした。(もちろんできていない部分もありましたが、1割程度でした。)

 運命の合格発表当日、HPから受験番号を検索し「合格者一覧にあります」の表示をみて安堵しました。受験講評をみると合格率が高かったようで、出題された問題には恵まれていたと思いました。

電験2種合格後は・・・

 電験2種に合格した後、燃え尽きるのかなと思っていましたが、私の勉強意欲はさらに掻き立てられ電験1種を目指して勉強を始めていました。
 電験3種の初受験から6年が経ち、当初は無理だと思っていたことが実現できたことは、私にとって大きな成功体験となりました。私は決して特別な学歴も経験もありませんが、気合と根性そして強い目標があったからこそたどり着けた領域だと思います。あきらめず挑戦し続ければ、どんな難問でも必ず答えを導きだすことができるようになります。どうか受験生の皆さんも根気強く頑張っていきましょう。

 ここまでお読みいただきありがとうございました。少しでも皆様の勉強の参考になりますと幸いです。

 これから電験2種を受験しようと考えている方も、すでに挑戦中でお悩みの方も私に聞きたいことがありましたら、お気軽にお問い合わせフォームからご連絡ください。(初回の相談は無料です。)