【合格体験記】電験1種
こんにちは。Office Y.E.T.です。
今回は電験1種の合格体験記を書きたいと思います。受験年度はこちらを参照ください。
それでは、長いですが最後までお付き合いください。
電験1種を目指すきっかけ
「何か自分の知識を証明できるものが欲しい」と考えたことから電験を受験していましたが、このころになると当初の思いに加えて、将来少しでも何かに貢献できる技術者となるために必要な資格と思うようになりました。
私は大学で電気工学などを学んだわけではありません。学歴はただの高卒です。大学の学位には程遠いですが、それに近い証明として電験1種が必要と考えていました。もちろん電験1種を取得したからと言って、優れた技術者であるという根拠にはなりませんが、少なくとも一定の領域に達することのできた証明にはなると思ったからです。電験1種を取得して終わりではありません。取得してからが本当の技術者人生の始まりと考えていました。
そして、新たなスタートを切るために電験1種を目指すことにしました。
受験勉強
さて、勉強しよう!と思い、電験1種の過去問題を解いてみたところ、理論が特別難しいと感じました。電力・機械・法規は全く解けないという感じではなく、2種の時のような勉強スタイルで十分に結果がでるだろうという感触でした。個人的には電験3種は大まかな概要、2種ではそれが少し理論的になり、1種では本当の意味での基礎(数学・物理から電気につなげているような)を勉強しているという感覚でしたので、参考書を探すよりも専門書と過去問題から学んだ方が理解が深まると思ったため、そのようにすることとしました。
理論は、大学で勉強するような電磁気学の知識が必要ということが分かったので、ネット通販で中古の「電磁気学ノート」という本を購入しました。かなり古いものでしたが、勉強に支障はありませんでした。ただ各単元ごとに例題があるのですが、答えのみで途中式が無いので、お手上げという問題も多々ありました。過去問題を活用し電磁気学ノートでお手上げだった問題のようなものが出題されていないか探し、類似問題があれば解いてみて、分からなかった例題にも挑戦してみるということをして、理解を深めていきました。ただ私にはとても難しく、しっかりとは理解できませんでした。
電力と機械は、電験2種の2回目受験の時も実践していた、2次の論説対策もしながら勉強するということを実施していました。具体的には過去問題の語群を消して、穴埋め箇所を増やし自分の言葉で書いていく。いいと思った問題は、暗記カードに1問1答形式の問題として変換し隙間時間勉強の教材としました。また、問題の内容を調査し深堀することで知識を増やしていきました。
ちなみに穴埋め箇所を増やす方法は、文具屋さんで売っている「チェックペン」という緑のペンと赤いシートを活用していました。詳しくは検索してみてください。
法規は、電気事業法とその他関連省令等が、ひとまとめに書籍化されている本(電気書院)を購入し、持ち歩いて読んでいました。法規は読むだけでは頭に入らなかったので、仕事に関係のある部分は常に意識しながら定着を図り、そうでない部分を重点的に読んで暗記していたと思います。(需要設備に関係する部分以外)
電験1種1次試験
勉強をしているとあっという間に時間が過ぎます。毎年夏の恒例行事となった電験受験も数えること6回目となりました。1種だからと言って特に緊張することもなく、いつものルーティンをこなし試験に臨みました。
一番難しいと感じていた理論科目が始まりました。まずは、試験問題を一通り見て解く順番を決めていくのですが、どの問題も難易度的には同じくらいと感じたので、順番に解いていくことにしました。ところが緊張していたのか、1問目からいきなり頭が真っ白に・・・数分考えましたがパニックになってほかの問題に影響が出そうだったので最後に解くことにしました。なんとか気を取り直して2問目、3問目と進めていきました。100%を狙うことはせず8割以上が解けて残りの2割でつまずいたら次の問題に移るようにして、とれる得点を確実にとりにいきました。つまずいた問題は余った時間に、優先順位をつけてじっくり解いていきました。1問目は一番最後に6割くらい解いて終了しました。1度つまずくと思考が固まってしまい、うまく解けませんでした。
その後、電力・機械・法規についても受験しましたが、こちらについては無難に解答し、問題・マークミス等の確認を3回ほどして終了しました。決して簡単というわけではありませんでしたが、日ごろの勉強の成果が出たのだと思いました。
試験後の疲れもそれほどなく、帰宅途中の電車の中で理論の1問目を見て、こうやって解けばよかったのか―と思いながら落ち着いて解く大切さを感じました。
週明けに発表された模範解答で無事に1次試験の通過を確認しました。6割ギリギリだとマークミスがあったりすると、合格できていない場合もありますが、8割近く得点していたのでそのような心配もなく、2次試験の勉強に進むことができました。その時の自己採点を記録していたので、掲載しておきます。
理論:60/80
電力:64/80
機械:67/80
法規:68/80
後日公式の合格発表があり、正式に1次試験の合格を確認しました。
2次試験勉強
2次試験の勉強は、1次試験で論説対策を始めていたので、1次試験の通過を確認してからは、計算:論説=6:4くらいの割合で勉強しました。
試験問題のどこに重きを置くかは、受験者個人の判断と思いますが、私は計算が少し弱いかなと思っていたので、論説でもしっかりとした点数がとれるよう専門書を読んだり、暗記カードを活用したり、実務に結びつけたりして勉強していました。論説問題は模範解答のとおりに書くことはかなり難しいですが、ある程度の知識があれば、自分の解答に出てくる言葉が模範解答に近いものとなると思います。また論説は計算問題と違い場所を選ばず勉強できる(頭の中でも)ので私には合っていました。
2次試験で一番難しいというか、意味が分からなかった分野が「対称座標法」です。この分野は2種でも出題されますが、できなくても影響がなかったのでスルーしていました。1種ともなると、この分野の理解が過去の出題傾向から必須と思っていたので、「%Z法と対象座標法の入門(オーム社)」を購入して、集中的に学習しました。%Z法の部分は飛ばして、対称座標法の部分のみに集中しました。対称座標法は計算方法のみならず、その意義自体がよく理解できていなかったので、そのあたりを理解できたことはとてもよかったです。ただ、この本を読んでも使いこなせるかは別の話で、私には使いこなせませんでした。そのため、徹底的に過去問題から対称座標法の問題を探し出して、使いこなすことができるようひたすら解きました。
機械・制御はパワエレは完全にあきらめていたので、そのほかで得点することを想定し、誘導機・直流機・同期機・変圧器の理論を再確認と計算問題の演習、制御は古典制御に加えて、現代制御を勉強しました。正直、現代制御は十分に理解するに至りませんでした・・・
最初で最後の挑戦
電験1種の2次試験は受験の権利が2回ありましたが、初回の試験で合格できなかったら以後受験はしないと決めいていました。理由はいろいろありましたが、それくらいの気持ちで取り組まないと、勉強中に甘えてしまうと思っていたことが大きいためです。7年近くの年月をかけて勉強した集大成として電験1種の2次試験に臨みました。
試験会場が東京ドームホテルだったと記憶しています。移動が大変ということもあり、前日から家族で会場のホテルに泊まり、東京ドームシティで一日遊びました。夜暗くなるまでしっかりと遊んで、一切勉強はしませんでした。翌日は、試験会場に宿泊していたこともありしっかりと睡眠時間を確保でき、万全の体調で臨むことができました。
試験前は、いつものルーティーンで最後の復習などは一切せず、文房具の準備やお手洗いなどを済ませて、気持ちを整えました。1種の2次試験ともなると、今まで以上に周りの方が出来そうに見えてとても緊張しました。ですが、相対評価の試験ではないので6割以上が各科目で取れていれば合格です。戦う相手は自分だと言い聞かせ、気持ちを落ち着かせました。
電力・管理が始まりました。さっと試験問題を見ましたが、明らかに難しい問題が1問とそのほかは、なんとなく出来そうという感触を得ました。解く問題に印をつけ、論説から先に解いていきました。(令和3年:問1、問4、問5、問6を選択)
論説問題は、今まで読んでいた発変電工学と送配電工学が役に立ち、ざっくりとですが完答できました。計算問題は問6を除いては完答できました。問6は答えがどのようになるかは、実務で経験していたので知っていたので、何度計算しても思うような結果にならず半分しか自身のある解答が出せませんでした。
午前中の電力・管理はまずまずの手ごたえだったので、午後の機械・制御にむけていい気分でした。
そして、機械・制御が始まりました。問題を見て、制御は固定で同期機の問題を解くか誘導機を解くかで悩みました。どちらも自信はありましたが、より確実な方を選ぼうと思い、とりあえず制御の問題を先に解きました。とにかくペンを走らせ、15分くらいで解き終わりました。最後の小問は分からなかったので8割程度の出来でした。そして、余った時間で悩んでいた2問を少し解いてみて、確実に行けると思った誘導機を選択しました。(令和3年:問3、問4を選択)誘導機は感触どおり完璧の手応えでした。今までの試験で完璧の手応えはだいたい間違った手応えでしたが、この時は違いました。見直しを何度も繰り返して、問題文に沿って解答できているかを入念にチェックしました。2回ほど見直したところで時間になり、試験が終了しました。
試験終了後さすがにぐったり疲れましたが、かなりの手応えでもしかするともしかするかも!という気持ちでした。合格発表までは期間があるので待ち遠しかったですが、今回で受験はやめると考えていたので、今まで以上に仕事に打ち込み試験の事を忘れるようにしていました。
後日模範解答が発表され自己採点しましたが、論説は正確な点数を算出できないものの両科目とも60点以上は得点できていそうな感じでした。合計で120点を超えていました。いろいろ差し引いても合格ライン付近にいるのかなーという感覚で、合格発表が待ち遠しくなりました。
運命の合格発表の日、まずHPで受験番号を検索する前にプレスリリースで合格点や合格率を確認することにしました。
まず冒頭に、合格者数は72人で、合格率は8.0%と記載されており絶望しました。続けて合格点が180点満点で93点以上かつ、各科目ともに平均点-5点以上と記載されていました。この時点で気持ちは最悪でした。あの手ごたえは、誤った感覚であったかもしれない、模範解答による自己採点もバイアスがかかっていたのだと思いました。
恐る恐る受験番号を入力すると・・・「合格者一覧にあります」
まさか!信じられず何度も受験番号を入力し、検索しなおしましたが、何度も同じ言葉がでてきました。約7年にも及ぶ勉強が実を結びました。とてもうれしかったことを覚えています。と同時にここからが本当のスタートだと自分に言い聞かせ気持ちを引き締めました。
おわりに
ここまでお読みいただきありがとうございました。電験受験生や電気技術者の皆さんに、私の伝えたいことが少しでも伝わっているとうれしく思います。
私は運よく電験1種を取得することができました。今は試験に向けた勉強をしているわけではないので、また受験しても合格できる自信はありませんが、電験1種に合格した経験を生かして、未来の技術者やステップアップを考えている技術者の育成に少しでも貢献できればと考えております。
これから電験1種を受験しようと考えている方も、すでに挑戦中でお悩みの方も私に聞きたいことがありましたら、お気軽にお問い合わせフォームからご連絡ください。(初回の相談は無料です。)